ごあいさつ


ボルヘスは語ります。「私は人生を文学に捧げてきた。読むということはひとつの幸せの形であると思う。また、文学的創作や創作と呼ばれるもの―読んだものの忘却と記憶の混在―も、劣りはするがそれも違う幸せの形である。」エメルソンとモンテーニュの意見も、「本は幸せの具現化であるから、私達は気に入ったものだけを読むべきである」という点において一致しています。書くことは、私達の可能性を広げ人としての成長を促します。ビオイ・カサレスも、書くという行為は人生という家に部屋を増設ようなものだと述べています。
人は生きるために物語が必要です。“はてしない物語”のコンプレックスだらけの少年、 バスチアは何をしたでしょうか。彼は自分自身のために物語を語りました。“La saga / fuga de J.B.”に出てくるホセ・バスティーダの場合も、もし書くことを知らなければ、彼は不幸なままだったでしょうし、物語“Castroforte del Baralla”を創作することも、フリアに恋をすることもなかったでしょう。物語は私達の毎日をより豊かなものにしてくれます。私たちだれもがアリスのように、寝ても覚めても不思議の国を探しているのです。そこは、想像力を解き放せる世界。その住人が多ければ多いほど、その世界は無限に広がるのです。物語を読み、追体験し、それが生きるためのひとつの糧となるよう、みなさんをここに招待します。